一連のウィニー事件でよく聞かれたのが「私有のパソコンを通じて」という事実です.つまり,会社で残業するかわりに家にファイル情報をEメールで転送し,ウィニーをインストールした自宅のパソコンで会社の仕事をしたために,企業の持つ顧客データなどがウィニーを通じて流出してしまったということです.

私有パソコン

このような事件が起きた後では「自宅に顧客情報を転送するなどもってのほか」という声が上がりますが,それまでは企業内でむしろ「便利になった」という声も多かったのが実態ではないでしょうか.社員は家で食事をしてから残務をこなし,会社は時間外労働が記録されないという,「一挙両得」でした.

とは言え,これはもちろんサービス残業という日本企業の悪い風習の上に成り立っていました.そして個人情報・機密情報の取扱に関する企業の希薄なセキュリティ認識によってそれが許されていたということです.その結果,大量の情報流出という取り返しのつかない事態を招いてしまいました.