ウィニーによる情報漏洩事件は,実は2003年ごろから発生していました.

ウィニーの作者である金子勇氏が配布を開始したのは2002年5月です.その後,ウィニーを利用して勝手にファイルをばらまいてしまうコンピューターウイルスが出現しました.2003年8月に発見された「アンティニー」です.

このため,病院患者のカルテや,一般企業が保有する顧客リストなどの流出が起こり始め,情報漏洩は一般の人が気づかないうちに加速していました.つまりウィニーによる情報流出事件というのは以前から存在していたのに,明るみに出ていなかっただけだということです.
ウィニーと個人情報保護法

2005年4月に個人情報保護法が施行されると,それまでは情報漏洩事件の公表を恐れていた企業が,むしろ早めに認めて謝罪するように姿勢を変えるようになりました.これは,公表しない間に被害が広がると責任が重くなる上,不誠実な企業としてのマイナスイメージを持たれることを嫌ったためです.

しかしこの程度の企業の意識の変化では,個人情報の流出を防ぐ効果がないのは言うまでもありません.